上肢の痛みとは
痛みには外的な刺激、内部組織の炎症、神経の障害や神経周辺の炎症、ストレスなどの心因的原因などの種類があります。通常はこれらの要因が取り除かれると痛みはすぐに治まっていきます。しかし、安静にしすぎて筋力が低下するなどの理由で治癒に必要な血流が阻害されることによって、痛みが長引いてしまう悪循環が起こり、可動域や運動機能が低下してしまうこともあります。しっかりと治療しながら、適度なリハビリテーションを行うことが大切です。
上肢の痛みの原因
上肢の痛みの原因として、肩や肘、手など様々なものが考えらえます。下記、具体的に考えられる病気と付随する症状について説明していきます。
肩が原因の場合
肩関節とその周辺は骨・軟骨、筋肉・腱といった組織で複雑に構成されていて、その間隙を血管や神経などが通っています。これらの組織が加齢、使い過ぎによる疲労、外傷、疾患などによって炎症を起こしたり、組織自体の変性によって組織同士の衝突が起こったりすることで痛みが起こります。また自律神経のバランスやホルモンのバランスの変化によって起こる痛みもあります。
主な病気
- 肩腱板断裂(腱板損傷)
- 石灰沈着性腱板炎
- 肩関節周囲炎
- 肩こり
- ロコモティブシンドローム
- 胸郭出口症候群
- 肩関節前方脱臼
付随する症状
肩に原因がある場合、上肢の痛みとともに肩が上がりにくい(上がらない)、夜間から朝方にかけて疼痛があるといった症状を来すことがあります。
肘に原因がある場合
長時間同じ動作を繰り返す仕事やスポーツなどで、肘周辺の神経に炎症が起こった時や、使い過ぎによる負担で肘に痛み生じることが多いのですが、頸椎の神経根に圧迫が加わって起こる頸椎神経根症などでも肘に痛みを感じることがあります。
主な病気
- テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
- 野球肘
- 肘部管症候群
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 肘内障
- 脊椎管狭窄症
- 変形性肘関節症
付随する症状
肘に原因がある場合、上肢の痛みとともに腕全体が痺れる、膝の関節が痛む、手の筋肉が萎縮する(握力低下)、腕の動かせる範囲が狭まるといった症状を来すことがあります。
手に原因がある場合
手首から手指までは、狭い部分に複雑に骨、筋肉、神経、血管といった組織が入り組んでいます。手首や手指を使い過たり、加齢のよる関節組織が劣化したりなどで痛みが生じやすくなります。また、潤滑パイプの役割を果たす腱鞘が肥厚して腱の動きが悪くなることによる痛みや、腱そのものが肥大することによる痛みもあります。
主な病気
- へバーデン結節
- 母指CM関節症
- ばね指
- ドケルバン病
- 変形性頚椎症
- 手根管症候群
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 尺骨神経麻痺
- 橈骨神経麻痺
- 舟状骨骨折
付随する病気
手に原因がある場合、上肢の痛みとともに手(指)の付け根の痛み・腫れ、熱感がある、手(指)の動かせる範囲が狭まるといった症状を来すことがあります。