上肢の痺れとは
神経が圧迫されたり、血流が滞ったりすることによって、手足などに痺れや麻痺が起こることがあります。上肢の異常の多くは、脳、頸椎、肩や腕などの神経や管などの異常で起こることが多くなっています。症状の起こる場所や持続時間、どのような痺れかなどで、どこで障害が起こっているか、どんな原因かある程度類推できます。
上肢の痺れの原因
上肢の痺れの原因には、脳や脊柱管、神経の圧迫、末梢神経の圧迫、血行障害など様々なものが考えらえます。下記、具体的に考えられる病気と付随する症状について説明していきます。
脳に原因がある場合
脳の血管が何らかの要因によって詰まったり出血したりすることで、脳の細胞に栄養が行き渡らなくなってしまい、脳の細胞が壊死してしまいます。人間の脳は、生命活動をはじめ行動や感覚、思考といったあらゆる機能をつかさどっています。これらの機能は脳の異なる領域がそれぞれの役割を担っています。そのため、どの動脈がつまって脳梗塞を起こしたか、脳のどの部分で出血が起きたか、脳のどの部分で腫瘍ができたかで現れる症状はまったく異なってきます。
主な病気
- 脳出血
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 一過性脳虚血発作
付随する症状
脳に原因がある場合、上肢の痺れとともに頭痛や麻痺、感覚の障害、めまい、意識障害といった症状を来すことがあります。
脊柱管に原因がある場合
主に加齢によって椎間板が劣化し膨らんだり髄核が飛び出したりすることや、脊椎を支える靱帯(黄色靱帯)が太くなってしまったことで、脊柱内部で脊髄を通す脊柱管が狭窄します。脊髄や神経根が刺激され、また神経への血流が停滞して、痺れなど様々な症状が起こります。上肢の症状は頸椎の狭窄から起こるとされています。
主な病気
- 頚椎脊柱管狭窄症
付随する症状
脊柱管に原因がある場合、上肢の痺れとともに首の痛みや腕(手)の痺れ・脱力感、手指の細かな動作ができない、首や肩の周りの筋肉が凝るといった症状を来すことがあります。
神経の圧迫が原因の場合
頸椎が外傷を受けたり加齢によって劣化したりといった原因から、椎間板に大きな力が加わると、椎間板を取り巻く繊維輪が破れ、中の髄核が飛び出してしまいます。飛び出した髄核が脊髄や神経根を圧迫し炎症を起こすことで上肢に痺れなどの症状が起こります。
主な病気
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 変形性頚椎症
- 頚椎脊柱管狭窄症
付随する症状
神経の圧迫が原因の場合、上肢の痺れとともに首の痛みや腕(手)の痺れ・脱力感、手指の細かな動作ができない、首や肩の周りの筋肉が凝るといった症状を来すことがあります。
末梢神経に原因がある場合
上肢の末梢神経は頸椎で脊髄から分かれて、腕や手の感覚や動作を司っています。末梢神経の出口や肩、肘などの骨、筋肉、血管などに圧迫されたり、何らかの理由によって通り道が狭くなったりすることで、痛みや痺れといった症状があらわれます。
主な病気
- ガングリオン
- 胸郭出口症候群
- 肘部管症候群
- 手根管症候群
付随する症状
末梢神経に原因がある場合、上肢の痺れとともに痛みや筋力の低下といった症状を来すことがあります。
血行に障害のある場合
血管が障害されることで血の流れが悪くなると、そこから先の部位に酸素や栄養を十分に届けることができなくなります。周辺の末梢神経もダメージを受け、痛みや痺れといった症状があらわれます。血流が悪くなる原因としては、物理的な圧迫なども考えられますが糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を含む様々な疾患も考えられるため、しっかりと原因疾患を見極めることが大切です。
主な病気
- 閉塞性動脈硬化症
- 肩こり
付随する症状
血行に障害のある場合、上肢の痺れとともに冷感や痛みといった症状を来すことがあります。